Blumlein, ORTF、スペースドペア、コインシデントペアなどX-Yと M-Sをセットにしたステレオレコーディングテクニックが数々開発されてきましたが、これらには用途に応じてそれぞれ長所と短所があります。ではM-S方式について詳しく見ていきましょう。
M-S (Mid-Side)では2つのマイクを使用します。そのうち一つはカーディオイド型でサウンドを拾い、もう1つはfigure-8(双極型)パターンでなくてはなりません。カーディオイド型(mid)は音源の中心の方に向けて、figure-8(side)の二つの部分はサイドの方に、midのマイクと垂直になるように設置します。
マイクメーカーには これらの3つの要素が正しく配列されて囲われた形のM-Sレコーディング専用のステレオマイクを製作しているところもあります。しかし、カプセルのような部分が一致して(同じ面積を占めて)いれば、2つの別々のマイクを使ってももちろんかまわないのです。
M-Sテクニックでは左右のステレオシグナルを発生させるための特別なデコーダーが必要になります。左チャンネルはmidとsideのマイクの和(M+S)です。右チャンネルはmidとsideのマイクの差(M-S)になります。

Onyx 800Rはビルトインのデコーダーを搭載しています。デコーダーは背面パネルのMID/SIDE DECODEボタンを押すことで作動します。MIDマイクはチャンネル1に、SIDEマイクはチャンネル2に接続して下さい。シグナルはA/Dコンバーターとアナログラインアウトプット直前のデコーダーを通過します。
M-Sレコーディングではオーケストラ演奏での各楽器間の位置関係をステレオ空間上に再現することができます。左右の位置関係はもとより、前後の位置関係も再現できます。
調節がデコーダー以前に行われることに注意して下さい。デコーダーを過ぎた後におこなった左右のシグナルの比の調節ではおなじ効果を得られません。もしもしステレオイメージを後からミックスダウンの最中に行いたい場合には、MIDとSIDEの生のシグナルをデコーダーをオフにした状態でテープに録音して下さい。それからファイナルミックス時に録音したMIDとSIDEシグナルをデコーダーをオンにした状態でチャンネル1と2に流してチャンネル1、2のゲインコントロールを調整し、適切なステレオイメージとなるようにして下さい。
このレコーディングテクニックのもう一つの利点は、モノラル信号との互換性です。これは放送や映画製作用において非常に便利な特徴です。 |